みらいわブログ 2025年10月号

『遺産の分割はここに注意!』

70代を超えると、そろそろ自分のいなくなった後のことを考えるようになりますね。そんな親を持つ子供にしても、遺産の分割については「早めに何とかしといてよ」と考えていると思います。ことがデリケートなだけに、なかなか子供からは切り出しにくい話題ですが・・。

今回は、その遺産の分割についての注意点をいくつかお話します。まず、原則について確認しましょう。

1:親が何も意思表示しないで亡くなったとき、法律上は法定相続人(民法で定められた相続人)の話し合いで遺産を分割するのが原則です。もちろん、その話し合いの際に、法定相続人以外の人にも遺産を渡すこともできますが、その場合は贈与税が課税されることもあるので要注意です。

2:その話し合いで結論が出ない場合には、法定相続分(法定相続人ごとに決められた相続する権利の割合)で分割することが原則です。話し合いがまとまらないケースでは、法定相続分で分割することも合意できない場合がほとんどなので、その場合には、家庭裁判所に「和解調停」を申し立てることになります。

ただ、これはお勧めの方法だとは言えません。合意にいたるまでに何年もかかるケースもあり、その間、遺産には誰も手をつけることができないからです。

3:そのようなトラブルを避けるためには、「遺言書」を作成することが必要です。親が財産をどのように分けてほしいかを、あらかじめ文書で残しておく方法です。

遺言書の作成方法には、次の三つの方法があります。

①公正証書遺言

②法務局の「自筆証書遺言書保管制度」

③自筆証書遺言

この三つの方法は、それぞれメリットとデメリットがあるので、詳しくは、私ども「一般社団法人みらいわ」にお問い合わせください。

4:財産の分割の際に注意したいこと

①財産は、いずれは子供たちが引き継いでいくことになりますが、配偶者がご存命であるなら、まず配偶者の老後設計を優先的に考えましょう。残された配偶者は、自分のことよりも、子供たちのことを優先しがちです。ただ、長生きが当たり前の時代、老後を過ごすのに必要なお金は少なくはありません。

②財産が多い場合には、相続税が課税されるケースも出てきます。但し、税金を少なくすることばかりを考えて分割すると、却って税金が追いかけてくる場合もあるので注意してください。事前に十分に対策を立てることが一番です。

③財産を分割する際には、その財産の価値が問題となります。預金や有価証券ならばほぼ額面通りの価値がありますが。土地建物の場合は、通常固定資産税評価額を参考に分割を考えることが多いようです。これを財産価値といいますが、土地建物の場合、財産価値だけでなく経済価値があります。つまり、その土地建物がどれだけお金を生むかということです。賃貸物件をお持ちの方などは、その点をよく考えましょう。

5:財産の分割にあたって一番大事なことは、それをきっかけに、親子兄弟が仲たがいするようなことを絶対に避けることです。

身内が仲良くしていくことは、どんな財産よりも価値があります。そのためにも、トラブルを未然に防ぐための準備を怠らないようにしましょう。つまり「相続の対策と準備です」

 

一般社団法人みらいわでは、11月13日(木)18:30から、「相続事前対策セミナー」を行います。ぜひ直接お話を聞いてみてください。

税理士 半田正樹