みらいわブログ 2019年3月号

こころのセーフティネット
最近のことですが、兄弟が交通事故に遭い、頸椎損傷で病院のベッドに寝たきりの状態になりました。
年齢も71歳で、家族もなく一人暮らしの状態なので、私ができる範囲でお世話をしているのですが、実際戸惑うことばかりで右往左往しました。実際に自分が様々な場面に遭遇すると、いかに何も知らなかったかを思い知らされました。
 事故への対応は、警察や勤め先のおかげで、労災手続きなども進んでいますが、医療に関することは、最初に入院した病院のソーシャルワーカーや医師の方のペースで事が進んでいました。しかし、転院先として紹介された病院が、自宅から遠く離れた所で、これはちょっとまずいことになるぞと考えたのです。
 幸いにも、身近に相談できる医療関係の方がいたおかげで、全てを相談しながら力を貸して頂き、無事に近くの病院に転院ができました。
何より安心したのは、急性期病院から回復期病院へ(最初はこのような言葉と医療制度の現状も知らなかったのです)どのように転院が進んでいくのか、家族の意向はどの程度聞いてもらえるのか、費用の負担やリハビリの程度など、様々な不安や疑問について指導を頂けたことでした。
 高齢化社会が進んでいく中で、私のような状況に置かれる方も多いと思います。このような時に、誰でもが、様々な問題に気軽に相談できる窓口があれば、もっと安心して立ち向かうことができるのではないでしょうか?
ソーシャルワーカーやケアマネージャーなど、専門化された相談窓口はありますが、実際の問題はもっと多岐にわたります。医療のしくみや介護に関することばかりでなく、自宅や家財の管理や処分、お亡くなりになった時に起こりうることや、それへの備えなど、状況により本当に色々なことが予想されます。
 私ども「一般社団法人みらいわ」も、資産管理や処分、相続や遺言などについては、それぞれの専門家を抱えています。しかし医療や福祉の事になると全くの畑違いで、対応ができません。
近い将来、もっと大きな受け皿を準備し、どのような問題であれ、高齢者の方々や病気や事故に遭われた方などが、とりあえず駆け込むことができる組織ができればと願っています。

税理士 半田正樹

みらいわブログ 2019年2月号

こんにちは、みらいわメンバー、税理士の兼田円です。
2019年2月は、私が当ブログの担当です、よろしくお願いいたします!

現天皇陛下が退位されることが決まってから、この冠言葉がひんぱんに使われるようになりました。
「平成最後の」限定商品のパッケージに使われるとやはり普段とは違うレア感があり、消費行動が活発になってしまいますね(私だけでしょうか?)。4月へ向けてさらに商品が増えそうな勢いです。

さて約1月前になりますが、この「平成最後の」お正月、福岡地方は穏やかな天気に恵まれ、初詣日和となりました。 私は例年より少し足を伸ばし、家族で福岡市東区にある筥崎八幡宮へお参りへ行ったのですが、その時に印象に残ったこと2つを、今回のブログに書こうと思います。

1つ目。
筥崎八幡宮の本殿を見上げるとすぐに目に入ってくる漢字4文字に、ドキっとしました。

「敵國降伏」
神社すぐ近くの空を福岡空港へ離発着する飛行機が横切っていきます。ついイメージ的に明治〜昭和の戦争を連想してしまいました。福岡市はいろんな国からの観光客や留学生が来ているはず…うーんこれは穏やかでない…??
しかしよくよく調べてみると、これは元寇・蒙古が襲来したおりに神風が吹いて九州への上陸を阻んだことから、日本を敵国から守る厄除勝利の神様をまつる、という意味の言葉でした。
なので、いわゆる炎上案件ではありません!内心ホッとしました。
いま外交関係がとてもナイーブで、ひとつの判断が政治だけでなく経済に大きな影響が与えかねないバランスに日本は立たされています。私は今回のような安直な連想をせず、広い視野と豊かな想像力で世界の中に立つ日本、を考えないといけませんでしたね。

2つ目。
参道には左右にたくさんの出店があり、あれこれ迷って、一番美味しそうだったたこ焼きを1パック買った時のこと。600円支払う時に、聞かれたのです。
「食べて行きますか、お持ち帰りですか」
みるとテント内にテーブルと椅子を並べた飲食スペースがありました。空いていたので、食べて行きます、と答えると、パックではなく紙皿にたこ焼きをのせて、お箸を2膳添えてくれました。そのあつあつのたこ焼きを頬張って考えたこと。タコが大きくてすごく美味しい!ではなくて(それもありましたが)、今年10月からの消費税改正になったら、このお店は売上をきちんと8%と10%に分けて把握しないといけないんだな、ということです。
なぜなら、改正された消費税法では、持って帰る食品は軽減税率8%で課税され、飲食のための施設で提供されたものは原則の10%で課税されるからです。
イートインコーナーのあるコンビニエンスストアやスーパーも同様の考え方をします。

アルバイトらしき若い女の子は、どんどんたこ焼きを売り捌き、受け取ったお金を無造作にカゴにぽいぽい投げ入れていました。手許にレジもなければ帳面もありません。
来年から消費税の申告…正確にできるのかな?
簡易計算などの便宜的な経過措置は今の所講じられる予定はありません。
本当に軽減税率はデメリットの方が多い制度になりそうだな、と感じました。

そんな不穏な気持ちを抱いた筥崎八幡宮でひいたおみくじは小吉でした。良いことも試練も、ほどほどに訪れる1年になりそうです。

税理士 兼田円

みらいわブログ 2018年10月号

民法の相続に関する規定(相続法)が改正されました!

まずは、『我が』広島カープが三連覇を達成しました!!
全国のカープファンの皆様、本当におめでとうございます!!(^^)
・・・すいません、どうしても書きたくて・・・。

さて、ここからが本題です(笑)。

今回は、民法のうち相続に関する規定(相続法)の改正のポイントをご紹介します。
実際に法律が施行されるのはまだ少し先になりますが、今後相続の仕組みがどういう風に変わっていくのか内容を確認しておきましょう。

1. 自筆証書遺言についての改正ポイント
(1)法務局で保管してもらえるようになります。また、保管する際には法務局が遺言が法定の書式通りかをチェックするため、形式の書き間違えによる無効のおそれや紛失や偽造のリスクも少なくなります。
(2)検認が不要になります。上記(1)で保管した自筆証書遺言については、裁判所の検認手続きが不要となりますので、相続手続きの時間短縮にもつながります。

2. 配偶者居住権が新設されます。
 配偶者居住権とは、自宅に配偶者がそのまま住み続けられる権利です。居住権は所有権よりも財産価値が少なくなるため、その分遺産分割協議で他の金銭等の生活資金も確保できることになります。但し、居住権を第三者に対抗するためには登記が必要ですのでご注意ください。

3. 結婚20年以上の夫婦は、住居の贈与が遺産分割の計算から除外されます。
 結婚して20年以上のご夫婦で、配偶者に住居を生前贈与や遺贈した場合、それを特別受益とせずに、遺産分割の計算対象から除いて考えることになります。

 その他にも、自筆証書遺言の財産目録部分については手書きでなくても良くなることや遺産分割協議が完了していない時点でも被相続人の預貯金から葬儀費や生活費等を仮払いできる制度、被相続人の介護や看病に貢献した親族が特別寄与料を金銭で請求できるようになる等の多くの改正がされています。
 ここでは、詳細な解説は割愛させていただきましたが、より詳しくお聞きになりたい場合は、我々みらいわにぜひお気軽にご相談ください。

たかき司法書士事務所
 司法書士 高木 誠

みらいわブログ 2018年9月号

相続税対策として
■相続税対策として、110万円の贈与以外で、何か有効な対策はないのか? 
 
  「110万円の暦年贈与」とは、一年間の間に110万円以内の贈与であれば、贈与税はかからないという制度を利用した相続税対策ですが、もちろん節税として有効です。

 ただし、毎年定額を贈与しながらも(例えば、毎年100万円贈与するなど)、贈与した相手(例えば、相続人の息子など)の通帳や印鑑を贈与する人が預かったままになっていると、後々贈与税がかかってしまうケースもありますので、注意が必要です(名義預金あつかいになります)。

 また相続発生(亡くなって)から3年以内におこなった贈与は、相続財産にもどさないといけないルールになっていますので、高齢なうえに、体調が悪くなっておこなう対策ではありませんので、そこも押えておきたいところです。

■「一時払い終身保険」を活用した相続税対策が有効!?
 
 「一時払い終身保険」とは、かんたんにいうと、保険料を一括で支払う終身保険のことです。この生命保険が相続税対策として活用されるメリットをあげてみます。
 
○一度におおきな現金をうつすことができる
○500万円×相続人の非課税枠を有効につかえる
○相続放棄をした相続人の非課税枠も人数にふくむことができる
○保険金が早期に受けとれる
○受取人固有の財産になるため、渡したい相手を特定できる

■加入条件がやさしい?
 通常の終身保険であれば、年齢制限や健康状況などの加入条件があります。
 しかし、「一時払い終身保険」にはきびしい加入条件がないことも特徴です。健康診断書の提出が必要なかったり、年齢制限も80歳を超えても加入できる保険もおおいのです。

■まとめ
 わたしは不動産のプロですが、生命保険のプロではありませんので、詳細は専門家に相談することが望ましいのですが、生命保険を活用することで、おおきな相続税対策が可能になることもあります。場合によっては、とても大きな節税効果を実現できる選択肢になるのではないでしょうか。

加来不動産株式会社 
代表取締役 加来寛

みらいわブログ 2018年2月号

確定申告の準備はお済みですか?

 年が明けて早くも1ヶ月が経ちました。平成30年2月16日(金)から平成30年3月15日(木)までの期間が、平成29年分の確定申告の提出期間となります。(ただし、還付を受けるための申告は平成30年1月1日以後提出ができます。)

 最近、仮想通貨の話を良く聞きますが、ビットコインをはじめとする仮想通貨を使用することによる損益は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されることとなります。
 注意点としては、仮想通貨同士を売買しても、日本円に換金していない場合は税金がかからないなどということはありませんのでご注意下さい。あくまでも利益が発生すれば税金がかかります。
 また、雑所得の損失は雑所得以外の他の所得と通算(相殺)することも出来ません。

 どのような場合が仮想通貨の利益確定となるかについては、概ね以下の3つの場合があげられます。
①仮想通貨を使って何か買い物をした場合。
②仮想通貨を円やドルなどの法定通貨に換金した場合。
③仮想通貨同士を交換した場合。
 このほかにも利益確定となる場合がありますのでご注意下さい。

 これから、ますます仮想通貨は世の中に広がっていくと思いますが、今年の1月26日に仮想通貨580億円分が不正アクセスで消失したというニュースがありました。
 まだまだ、リスクの多い取引だと思います。ご使用されるかたは最新の注意が必要だと思います。

税理士 上村昌毅

みらいわブログ 2018年1月号

新年のご挨拶

 皆様、本年もどうぞよろしくお願い致します。
 私ども『一般社団法人みらいわ』は、平成26年2月に誕生し、4年目を迎えようとしています。「資産にまつわる様々な悩み事を、気軽にしかも問題が起きる前に解決するお手伝いができる組織」を作ることを目標に、これまで全員が力を合わせて頑張ってきました。
 大小のセミナーや研修会を行い、毎月の無料相談会も徐々にですが充実し、ご相談件数も増えてきています。
 昨年は、新たに民事信託にも取組み、現在、家族信託コーディネーター3名、家族信託専門士1名の登録を行って、民事信託へのご相談体制も整いつつあります。
 人生80年時代を生きる上で、自分自身が幸せな人生を終えることはもちろん、周りの人達の幸せも実現できれば、これに越したことはないと思います。そのためには、今を充実して生きるだけでなく、自身の最後に向けての準備に対しても、それに目をそらすことなく、しっかりと取り組むことが必要です。私どもにできることは、その方法と手段を提案し、そのお手伝いすることです。
 様々な相続事案などで、ご家族や親族が仲違いし、人の縁を薄くしてしまうのを見ることは、何よりつらいことですし、同時に私どもの無力さをも感じます。
 もっともっと私どものことを知っていただき、活用して頂く機会が増えればと願っています。微力ではありますが、更に力を合わせて精進して行くことを、この年の初めに決意を新たにしています。
 改めまして、今年もどうぞよろしくお願い致します。

一般社団法人みらいわ 代表理事 半田正樹

みらいわブログ 2017年12月号

【女性の創業支援の悩み】

 「みらいわ」が所在する北九州市では、「女性創業サポート事業」として女性の起業を応援しています。
 時々私にも講師依頼のお声がかかり、お金に関するお話をさせていただいています。

 今から起業を考えている人、もしくは始めたばかりでお金との付き合い方がわからない人を対象にしているのですが、来場者はいつも満員!そしてセミナー中もお顔が真剣!
 女性のパワーを感じますね、逆に私のほうが刺激をもらって帰ってきます。

 何度かセミナーで質疑応答をしているうちに、女性が起業について一番多い悩みがわかりました。
 それは「お金のことを誰に相談してよいかわからない」です。
 起業するためにいくら必要なのか、事業を始めたら帳簿をどうすればよいか、申告をしないといけないのか、主人の扶養から両方(所得税・社会保険)外れてしまうのか・・・
 こういった悩みそのものはもちろん、相談する場所を知らないことに困っているとのこと。
 北九州市に税理士は数多く存在しているのですが、どう接触してよいかわからない、HPからのお問い合わせは敷居が高いとみなさん仰ってました。
 調べやすい方法としては、市政だよりなどで無料相談会のお知らせをチェックする、市の相談機関を探して予約をする、確定申告期に会場に派遣されている税理士に相談する、税理士会に問い合わせをする、といったところでしょうか。。
 あとは税理会員名簿を見て、電話番号に直接アタックを・・・これは難しいですね。

 みらいわセミナーでも然りですが、来場してお会いできた方とは何かのご縁があるということ。
 その場だけでなく、今後も良いお付き合いをさせてもらえたらと毎度思います。

税理士 兼田 円

みらいわブログ 2017年11月号

民泊事業がしやすくなるそうですが・・・

 数年前から民泊(みんぱく)という宿泊形態が注目され、ビジネスとしてもAirbnb(エアビーアンドビー)などのウェブサイトが登場し、メディアで盛んに取りあげられるようになりました。
 一般的に、民泊とは、旅行者などが対価を支払って一般の民家に宿泊することを意味するそうです。個人的には、大学生の頃にヨーロッパなどの旅行時に利用したことがあり、ホテルが少ない地域で安く泊まれて重宝したことを記憶しています。
 しかし、日本では宿泊業をビジネスとして行う場合、旅館業法の適用を受けるため営業許可が必要になります。このため、例えば、個人が自宅を一定期間民泊として合法的に利用することは、特区民泊などの例外を除いて、法規制の点でかなりハードルが高いと思われます。
 ところが、今年6月に住宅宿泊事業法(以下「民泊法」)が成立し、早ければ来年(平成30年)春ごろに施行される見通しです。同法施行により、民泊事業者は基本的に、知事への届出により年間180日を上限に事業を行うことが可能となります。このように民泊法の施行は、規制緩和の点から民泊ビジネスの利用者にとっては望ましいことであり、また地域の空家対策として有効との意見も聞かれます。その一方で問題点も指摘されます。
 具体的には、分譲マンションの住戸を民泊に利用する場合があげられます。分譲マンションの居住者は、一般的にマンションの居住環境や資産価値を重視して購入する方が多いと思われます。しかし、民泊実施によりマンション内に不特定多数の非居住者が出入りする可能性があり、騒音・ゴミ問題などのトラブル発生が懸念されます。そうならないようにマンションの所有者・居住者間で利用上のルールを定めた「管理規約」がありますが、ほとんどのマンションの管理規約は民泊の実施を想定して作られていないと思われます。
 そこで、民泊実施によるトラブルの防止のため、まずはマンション管理組合の総会等で民泊の可否について議論を行い、その結果を踏まえて、民泊を許容または禁止する旨を管理規約に明文化しておくことが望ましいと思われます。

 マンション管理規約の具体的な改正案については、国土交通省のリリースをご参照下さい。
 http://www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000146.html

 不動産鑑定士 マンション管理士  沖永 裕章

みらいわブログ 2017年9月号

■【今、大注目の「家族信託」】という方法があります。

みなさま、こんにちは。加来不動産(株)の井料(いりょう)です。
まだまだ暑い日が続きますね。
お盆に家族・親族が集まり、相続にまつわるお話しをされた方も多くいらっしゃっるのではないでしょうか。

今回は、そうした相続に関するご相談と解決方法を紹介します。

Q:私たち夫婦には子供がいません。先祖代々の土地を私の家系で受け継いでいきたいです。
A:今、大注目の「家族信託」という方法があります。

<ご相談内容>
●相談者:Aさん(77歳・男性)東京都在住

家族構成は、わたし(Aさん)と妻B(75歳)です。
わたしたち夫婦には子供がいません。
現在、先祖から受け継いだ土地に自宅を建てて暮らしています。
私が亡くなったらその土地と自宅は妻に相続してもらうつもりで遺言書を作っています。
しかしその後、妻が亡くなると、妻の兄や姉にその土地と自宅が行くことになります。
先祖から代々引き継いできた土地ですので、妻の親族に行くことは本意ではありません。
こういった場合、なにかよい方法はありませんか?

<今までの解決案>
子供がいないご夫婦の場合、「私が亡くなったら妻(夫)へ」という遺言をお互い作っているケースをよく目にします。
しかし、この方法には一つ重大な問題があります。

今回のご相談で言えばAさんが先に亡くなり土地と自宅が妻Bさんに相続された後、
妻Bさんが亡くなったらどうなるでしょう。

妻Bさんが亡くなったときは、すでに夫Aさんはいません。そうすると「夫Aに渡す」という妻Bさんの遺言書は無効になり、結果、妻の兄や姉にAさん先祖代々の土地と自宅が行くことになります。

もちろん、妻Bさんが「夫の親族に渡す」という遺言書を作っておくこともできます。
しかし遺言書は、いつでも書き換えが可能なのです。
つまり、遺言書では夫が妻より長生きしない限り、夫の財産が妻の兄や姉に渡ることを完全に防ぐことができないのです。

<家族信託という解決策>

こういった場合に有効な手段として、最近注目されているのが「家族信託」です。
(誤解されている方もいらっしゃるかもしれませんが「投資信託」や「信託銀行」とはちがうものです。)

委託者:財産を持っている人
受託者:財産を託される人(財産を管理していく人)
受益者:財産から出る利益をもらえる人

簡単にいうと家族信託は、上記3人が登場する契約のことです。
この「家族信託」という契約をすることにより、今までの遺言では不可能だったことが可能になります。

今回のご相談でいきますと、夫Aさんが亡くなった場合、土地と自宅は妻Bさんのものになります。
その後、妻Bさんが亡くなった場合、夫Aさんの兄の息子(Aさんからすると甥っ子)に受け継いでもらいます。(甥っ子さんに、というのはあくまで例ですので、他の親族に受け継いでもらうことも可能です。)

こういったことが家族信託契約で可能になりました。(仮に遺言書でこのように書いておいたとしても無効です。)
これで先祖代々の土地がAさん家系に受け継がれることになります。

相続のことをご存知の方からすると「そんな財産の受け継ぎ方がホントにできるの?」と思われるかもしれません。
そうなのです。できるようになったのです。
平成19年9月に「信託法」という法律が改正され、可能になりました。

今回、ムズカシイ法律論は書いておりません。
今後も「家族信託」を使った問題の解決事例をご紹介していきます。
「家族信託」にご興味を持たれた方は、わたしたち「一般社団法人みらいわ」に「家族信託のコト教えて!」とお気軽にお声かけください。
きっと、あなたのお悩みや問題を解決できると思っています。

加来不動産株式会社
家族信託コーディネーター 井料 隆彦

みらいわブログ 2017年8月号

■【相続が発生したら、遺産分割協議をおこない、相続登記をしましょう!】

 父が亡くなり、相続が発生したが相続税がかかるほどの財産があるわけでもなかったし、具体的にどのような手続きをすればよいか分からなかったので、遺産分割をしないでそのまま放置していた(※図1)。

 しかし放置していた期間に、その相続人がさらに死亡してしまったケース。

 例えば、父の遺産につき、母と3人の子(私、弟、妹)の4人ですべき遺産分割協議を放置していたような場合で、弟の妻とは折り合いが悪く、ほとんど交流がないといった状況の中で、その弟が交通事故で亡くなってしまったとしたら。。。(※図2)

 亡くなった弟の地位(父の子としての相続人の地位)を、弟の相続人(妻・子)が引き継ぎますので、遺産分割手続きを進めるためには、弟の妻、子に協議に加わってもらう必要があります。弟であればまとまっていた話がその奥さんとの間ではまた異なる関係性の中で話し合うことになります。
 さらに子供が未成年の場合は、親が子供の法定代理人として遺産分割手続きを代理できるかというとそれは禁じられており、家庭裁判所に子の特別代理人の選任申立という手続きをしなければなりません。(母親と子供たちの利益が相反することとなるため)

加来不動産株式会社
代表取締役 加来 寛