みらいわブログ 2019年12月号

「所有者不明土地」ってなに?

 皆さんは「所有者不明土地」って言葉を聞いたことありますか?

 令和元年6月1日、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が施行されました。
 所有者不明なんて土地があるの? 不動産の登記制度はどうなってんの? 司法書士は何やってんの? なんて思われる方も多いかもしれません。
 私たち司法書士の力不足な面もあるのかもしれませんが、実は不動産登記(その中でも特に権利に関する登記)というのは、実は登記してもしなくてもいいんです。不動産登記(権利に関する登記)は「権利」であって「義務」ではないんですね。ですので、相続が発生しても何もしないで放っておく方々もいるんです。(※なお、会社や法人の登記は義務です。登記を懈怠すると過料になることがありますのでご注意ください!!)
 ちなみに、売買で取得した不動産を登記しないで放っておく人はいません。万が一放っておいて売主さんが他の人に二重売買してその買主さんが何も知らずに先に登記してしまったら、たとえ先に買っていたとしても登記した人には勝てないからです。
 でも、相続で取得した不動産を自分の被相続人(又はその直系尊属)の名義のままにしておいても、二重売買みたいなことをされる心配はありません。

 そして、そういった亡くなった方の名義のままで持ち主が不明の土地が、2016年の時点で日本全体で410万ヘクタールあるそうです。この広さって既に九州全体の面積より広いんです(汗) 今後何も対策しなければどんどん増えるとのことで、2040年には北海道の面積(約780万ヘクタール)に匹敵するとの見方もあります。
 そして、このような土地があると様々な問題が起こります。震災の復興事業や将来の災害対策として堤防や土地の補強等の公共事業をしようとしても、対象地の中に所有者不明土地があると思うように工事が進められないといったケースも出てきます。

 そこで、冒頭のような法律を作って、法務局の権限で土地を調査し、相続人を探したりすることができるようになりました。そして見つかった相続人には通知を発送し、相続登記を促していく予定です。我が福岡県でも、この年末年始には前述の通知が相続人あてに送られる予定です。(※この法律に該当する土地は福岡県全域で相当の数があり、毎年一部の地域ごとにこの作業をしているため、該当するケースでも今年通知が来ない方もいます。)
 また、今後の法改正によって、相続登記の義務化や罰則等も検討されているようです。

 このような通知を受け取ったけど一体どうしたら良いかわからないという方、まだ相続登記をしていなくて、そもそもどうしたらいいのか悩んでいるという方がいらっしゃれば、我々みらいわにぜひお気軽にご相談くださいね。

たかき司法書士事務所
 司法書士 高木 誠