私の今年の目標~今年はこれまでとは少し違ったことをやってみる
新年明けましておめでとうございます。
今年も「みらいわ」をよろしくお願い申し上げます。
1 さて、皆さまは新年の目標はもう立てられましたか?
私は2つ立てました。
まず1つ目は、最近運動不足でお腹が出てきてズボンが窮屈になってきましたので、今年こそはスポーツジムに通って体型的に若返りを実現し、少し格好良くなろうと思っております。それに人生100年時代の今、健康寿命こそが一番大切なので、今年を私の「健康寿命元年」にしたいと意気込んでおります。
2 それともう1つは、これまでやってこなかった自分なりの社会貢献として、セルフネグレクトの方への支援に取り組もうと考えております。
皆様は「セルフネグレクト」という言葉をお聞きになったことはございますか?
「ネグレクト」とは「放置・放任」のことです。
3 セルフネグレクトとは、人が人として生活において当然行うべき行為を行わない、あるいは行う能力がないことから、自己の心身の安全や健康が脅かされている状態に陥ることをいいます。ゴミ屋敷問題などもこれに含まれます。
原因としては、認知症や精神疾患などにより認知・判断能力が低下したこと、病気、世間体や気兼ね、他者の世話になりたくないというプライド、性格上の問題、引きこもり、地域社会からの孤立、身近な人の死などの人生に起きるショックな出来事による生活意欲の低下など様々です。
実はこのようなことは誰にでも起こりえ、他人事では決してないのです。最近では若者や4~50代の人にも増えており、一人暮らしの人だけでなく、例えば老老介護で疲弊してしまい、やがては家族ごと社会から孤立してしまうなど、家族と同居している場合でも起こっています。最近顕在化しているヤングケアラー(家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子どものことを言います)の問題もセルフネグレクトと無縁ではありません。
このため、対策に乗り出す自治体も出てきており、実証的な研究も徐々に進んいるようですが、セルフネグレクトは支援が遅れている、あるいはなかなか進まない分野と言っても過言ではありません。。
4 セルフネグレクトの問題点は、自分自身の健康や安全を脅かす、自己による人権侵害行為であるという点と、近隣を脅かす行為でもあるという点です。
そして最も悩ましいのが、本人が支援を拒否している場合も少なくなく、人権(自己決定権)を行使しているという点です。それゆえ、行政その他の支援者が手を出しにくく、支援をやりすぎるとセルフネグレクトの方の自己決定権を侵害するおそれさえあり、支援を躊躇する事例も少なくないようです。しかし、それは他方で、「支援者によるネグレクト」へと発展しかねません。
その方の自己決定権と生命・健康とではどちらが大切なのでしょうか?
セルフネグレクトは、ある意味、ご本人がご自分の意思決定の下で行われているので、支援者として、どのようにして、どこまで介入すべきかについては、とても難しい課題です。
ところが実は、ご自分の現状をしっかり理解して本当の意味での「自己決定」をしている方ばかりではないということも明らかになってきています。それは、誤った思い込みのために支援がなくても大丈夫と勘違いされている方、他方、そもそも何らかの原因で支援を求める力がなくなり、自己決定をできない方もいらっしゃることが分かってきたのです。それゆえ、問題はとても複雑です。
また、セルフネグレクトはご本人が支援を拒否されていることから、そもそも支援に繋がっていない事案も多く、手遅れとなって孤独死に至る場合もあります。 なので、セルフネグレクト問題は、世間ではこれまであまり知られて来なかったのですが、かなり深刻な無視できない社会の課題だと私は思うのです。
このため、どのようにすれば支援を拒否する方と繋がることができるのか、そのための心構えやスキルはどういうものか? これらも支援者はもちろん地域住民の方々にも重要な課題となってきます。
5 このような思いから、福祉や医療の現場で近年問題化しつつあるセルフネグレクトをテーマに、その現状、原因、類型、問題点、対応策、今後の課題等について、皆で議論を深めるべく、私が実行委員長になって下記のとおりシンポジウムを開催することといたしました。
このテーマは、法律問題ではなく、どちらかと言えば福祉や医療や地域の問題ですので、弁護士の私にとっては、セルフネグレクトの支援を行う専門職の方々を後方から支援する取り組みということになります。
そこで、私といたしましては、直接的には弁護士の業務とは言えないのですが、このシンポジウムを契機として、他の分野の専門職の方と研究や実践を重ねて、セルフネグレクトの方々への支援に取り組もうと考えた次第です。
6 この26年間、弁護士業務にほとんどの全ての時間を割いて人生を歩んできました。しかし、私も還暦を過ぎましたので、視点を少し変えて「わたしは何ができるだろう?」という気持ちで、少しだけですが社会に役立つかもしれないこと(またはその真似事?)をしてみたいと考えました。
限られた時間の中における人生ですので、プライベートも含め、今年からはこれまでとは少し違ったことをやってみたいものです。
それでは、皆様、今年も「みらいわ」をよろしくお願いいたします。
弁護士法人 翼・篠木法律事務所
代表弁護士 篠木 潔
記
九州弁護士会連合会 高齢者・障害者支援に関する拡大協議会
シンポジウム「セルフネグレクト~支援を拒否する人への支援を考える」
■開催日時:令和6年2月17日(土)13:00~17:00
■研修会場:会場・福岡県弁護士会館2階大ホール+Zoomウェビナー配信
(福岡市中央区六本松4丁目2番5号)
■定 員:会場150名+Zoom500名
■参加費用:無料
■対象者:医療・介護・福祉職、行政職、法律職、一般の方々
■申込の要否:必要
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参加ご希望の方は、下記URLの申込フォームまたはチラシのQRコードよりお申込ください(締切:令和6年2月5日)
こちらから→
https://forms.gle/j8PMCgKFzTeLTDFS9
福岡県弁護士会のホームページからも申し込みができます。
こちらから→
https://www.fben.jp/whatsnew/
シンポジウムチラシもダウンロードできます。
こちらから→
https://www.fben.jp/whatsnew/pdf/fb20240227.pdf
以 上